
「SOUZO by maruman」の仕掛け人が語るブランドの価値と可能性
マルマンからライフスタイルブランド「SOUZO by maruman(以下、SOUZO)」が発表されたのは2025年6月のこと。この新しいブランドが生まれた背景には、さまざまな業界でキャリアを築き、40代で文房具業界へ転身した一人の男性の存在がありました。彼の名前はマルマンのマーケティンググループに所属する吉村和樹さん。そんな吉村さんの経歴からSOUZO誕生の経緯、プロダクトのこだわり、ブランドの今後の展開まで、幅広くお話をお聞きしていきます。

異業種からの転職で挑む新ブランドの立ち上げ
ー 吉村さんは2024年3月にマルマンに入社されています。これまで歩んできたキャリアについて教えてください。
私は大学在学中から、さまざまなビジネスに携わってきました。所属していたフットサルチームのパートナーの獲得やマネジメント、デザイン関係の仕事、アパレルブランドの広報など、実践的な学びを得ようと多方面で奔走していたように思います。
そのため大学卒業後の進路においても多数の選択肢がありましたが、新卒でブルックスブラザーズ ジャパンへ。ファッション業界への関心が高かったことに加え、伝統を重んじながらも続けるブランドの価値観に惹かれたからです。
「ブルックスブラザーズ」でアパレル事業に従事したのち、宝飾雑貨の輸入・制作・販売業を行う企業に転職。スワロフスキー®クリスタルを用いた雑貨ブランド「ジェミー!」を立ち上げ、ブランディング、営業、PR戦略企画、イベント運営と、多岐にわたる業務をかけもちしながら尽力していました。
ただコロナ禍の影響をもろに受けてしまい、セールスプロモーション企業へ転職することになったのです。こちらの会社では日本橋地域におけるイベント企画を行う部署で経営企画室内のPR戦略担当しまして、2024年にマルマンに入社としたという流れになりますね。
また、プライベートワークとして造花ブーケブランド「&BOUQUET」を設立し、ウェディングブーケやマタニティブーケの制作・販売も行っています。

お聞きする限りですと、バラバラのような印象を受けるキャリアを積んでこられたのですね。在籍されたそれぞれの企業では、どのような学びを得られましたか?
1社目のアパレルブランドでは身につけるモノがもたらす価値と影響力、2社目の宝飾雑貨ブランド運営ではゼロから立ち上げるブランドづくりと価値の創造、3社目では既存の価値から新しい価値を見出す手法を学ばせていただきました。おっしゃる通りバラバラな経歴ではあるのですが、「価値の創出」という点においては共通しています。
ー なぜ40代に入ってから、初めて経験する文房具業界への転職を決意されたのでしょうか?
「クリエイティブサポートカンパニー」を掲げるマルマンの中長期的な経営計画と、代表取締役社長・井口泰寛の想いに共感したことが大きな理由です。
筆記具を含め持ち物にこだわりはある方ですが、“文房具ファン”だったというわけではありませんでしたし、ノートや手帳に関心が高かったわけでもない。ですがもちろん「マルマン」という企業は知っていました。
入社前は高品質の製品を手に入れやすい価格で販売している文房具メーカーという印象で、入社後に「この製品もマルマンで製造されていたのか」と初めて知る製品の多さに驚いたほどです。

ー 入社後、マルマンにどのような可能性を感じましたか?
入社してすぐノートやスケッチブックの製造を行う宮崎県の自社工場「宮崎マルマン」の見学に行きまして、非常に刺激を受けました。マルマンは1920年に創業した老舗の文房具メーカーです。妥協なきモノづくりの精神で良質な製品を提供し続ける姿勢はリスペクトするべきですし、一方で現代の価値観やライフスタイルにマッチさせる変化は柔軟に取り入れていくべきだと感じました。
面接時から「新ブランドの立ち上げを牽引してほしい」というミッションを与えられていたこともあるのですが、アイディアの種を見つけるべくアンテナを張りめぐらせる日々はいまも続いています。
「未完成の美しさ」を提案するSOUZOの誕生秘話
ー まさにSOUZOは吉村さんが中心となって立ち上げたブランドだそうですね。マルマンがD2Cのブランドを設立された背景とは?
マルマンには公式のオンラインショップがあるものの、小売店や卸業者を介した販売が多くの割合を占めています。SNSなどの運用はしていますが、かねてよりユーザーの方々の声が届きにくいという課題がありました。そのような状況を打破すべく、ユーザーの方々とダイレクトにコミュニケーションが図れるD2Cブランドをスタートしようというプランが、SOUZO立ち上げの契機となっています。

ー SOUZOは「未完成の美しさ」をコンセプトとしています。ブランドに込めた想いをお聞かせください。
私たちは、「未完成」という状態にこそ価値があると考えます。それは、所有して終わるものではなく、手にとった人の感性によって完成に向かうーーーそのプロセスそのものにこそ、意味があるからです。想像と創造のあいだにある”余白”。この余白が、想像と創造のあいだを媒介にし衝動に寄り添い、行先のない想いに輪郭をあたえる。SOUZOは、その瞬間にあなたと共に立ちあう。そんな存在でありたいと願っています。
SOUZOではアナログならではの“身体性”も大切にしています。「書くこと」、「触れること」で生まれる質感や愛着、温もりは確かに存在している。
個人的な話になりますが、私が幼い頃にちょっとしたイタズラをしてしまい、怒られる出来事があったんですね。そのとき母は「真摯であれ」と青いインクの万年筆で記した置き手紙を私に残しました。手紙を目にした際の母の感情は、手書きだかこそ伝わる温度だと思います。そんな風にアナログだからこそ伝わる特別な何かの存在を、原体験として感じているんですよ。

だからといってデジタルを否定しているわけではありません。デジタルのよさは多分にありますし、そこは大事にしていった方がいい。ただ紙にペンを走らせ、イメージをアウトプットしたり、想いを綴ったり、絵を描いたり、アナログでしか得られない体験を、私たちは大事にしていきたいと思うのです。
ー どのようなプロセスを経て、SOUZOに辿り着いたのですか?
まず新しいD2Cブランドを立ち上げるにあたり、「高付加価値のあるブランド」、「ユニークネスを出す」、「他ブランドとの差別化」、「マルマンだから実現できること」、「海外展開を見据える」といった条件を満たす必要がありました。
文房具ブランドという切り口では、すでに既存ブランドがさまざまな展開をしています。私は文房具に関しては素人に近い。そこを逆手にとり、これまでのキャリアで得た知見を活かしながら、文房具というジャンルを俯瞰し、まったく新しいブランドづくりを行なっていこうと考えました。ですのでSOUZOは「私だから生み出せたブランドである」と自負しています。
とはいうものの、SOUZOに行き着くまでは紆余曲折がありました。最初のプロトタイプは以前マルマンで展開していたリングノート「Boston Note」をベースにつくりましたし、ブランド名も多様な案があったんです。

“3つの軸”をベースに開発されるプロダクト
ー SOUZOの製品についても教えてください。「Essence Journal」は専用ケース付きのノートになるのですね。
ええ、ノートの表紙はデボス加工を施した上質紙で、箔押しでSOUZOのブランドロゴをあしらいました。見返しはゴールド箔を押したクラフト紙にして温かみを添え、小口全体にピンクゴールドの箔を入れています。
中紙はマルマン国産オリジナル用紙「MPS」(マルマン・ペーパー・シリーズ)の筆記用紙。なかでもハイクオリティな筆記用紙として開発した厚みのある「MPS-N 90g/m2」を採用しており、万年筆で書いてもインクのにじみや裏面への抜けがほとんどありません。ペンの滑りも心地よく、柔らかな筆記をご体験いただけます。

保存性が高い「専用ケース付き」というのも「Essence Journal」の特長でして、色は上品なグレー、ケースはマグネット式、なかにはスポンジを敷いています。
パカッとケースを開くと、鮮やかなイエローのコンセプトカードが目に飛び込んでくる仕掛けを施しており、日本語・英語表記を2枚の厚紙張り合わせに表現し、活版印刷で一文字一文字に手触りが出るよう演出しました。
「Essence Journal」は「記録する」というよりも「感情を綴る」ツール。日常使いに加え、お子さまの成長記録、エンディングノート、未来への手紙、ギフトなど、⼈⽣の節⽬に感性が触れる“余⽩”として機能する工夫を散りばめています。

ー 吉村さんご自身は「Essence Journal」をどんな風に使われていますか?
私はこのノートに自分で何か書くことはしていないんです。ではどのように使っているのかというと、仕事やプライベートでお会いした方に「SOUZOや私へのエールや期待することなど、自由に書いてください」とお願いし、書いていただいているんですね。
みなさん「何を書こうかな」とおっしゃるのですが、表情はとても明るく、ワクワクされている様子が伝わってきます。内容も私へのメッセージやその日の会話に関することなど、ポジティブな想いを綴ってくださりますよ。
わずか5分10分ではありますが、その時間だけでもアナログな行為を行うことで、書き手のなかにある創造・想像のパワーをつくりだせる。文具にはこのような力があると思いますし、私は「Essence Journal」で誰かに想いを届けてほしいと願っています。

ー 素敵な「Essence Journal」の使い方ですね。では続いて、「Archive Gallery」についてお願いします。
「Archive Gallery」はマルマンの象徴ともいえる製品の価値をインテリアとして再解釈し、アートへと昇華したポスターになります。「図案スケッチブック」、「スパイラルノート 1960」(レッド、ブルー、グリーン、イエロー、ピンク、グリーン、ライトブルー)、「スタンダード クロッキーブック」の表紙9種類とアルミフレームをセットにしており、お部屋の雰囲気や気分、好みによってお選びいただける仕様です。
どれも実際の製品の表紙と同じ紙で、「図案スケッチブック」と「スパイラルノート 1960」は工場で裁断する前の状態のもの。「スタンダード クロッキーブック」はポスター用にサイズを変えているのですが紙やプリントは製品と同様、バーコードも読み取れます。
生産数量は限定50個。シリアルナンバー入りのプレートが同梱され、ご自身で貼る場所を考える。という部分もポイントになっています。

ー 「Bloom Letters」はワッペンのような織りのステッカーになっているのですね。
こちらはカリグラファー・島野真希さんが書き下ろしてくださったオリジナルデザインです。「文字に宿る花々、あなたの個性が咲き誇る」をテーマに、「Be Original」と「BloomLetters」という2つのメッセージをカリグラフィーで表現していただきました。

ー SOUZOが発表した第1弾のプロダクトとして、なぜ「Essence Journal」、「Archive Gallery」、「Bloom Letters」になったのですか?
SOUZOのプロダクトを開発するうえで、私たちは“3つの軸”を設定しました。それは「SOUZOの世界観をまとったモノ」、「マルマンの資源を再活用するモノ」、「SOUZOの想いに共感してくださる異業種の方々とコラボレーションしたモノ」。第1弾のプロダクトはこの3つの軸から1アイテムずつご提案しています。
SOUZOの価値を世界へ届けていくために
ー マルマンという老舗文房具メーカーが、SOUZOというライフスタイルブランドを展開する意義はどこにあるのでしょうか?
2020年に創業100周年を迎えたマルマンが、次の100年に向けてどのような展開をしていくかを考えたとき、エンドユーザーの方々と近い距離感で一緒にモノづくりを行うこと、新しい価値をつくりだしていくことが、責務であるととらえました。そのためにも単なる「文房具ブランド」ではなく、「ライフスタイルブランド」であるSOUZOが一翼を担っていくはず。SOUZOを通じて幅広い層の方々とつながっていけたら嬉しいですね。

ー SOUZOのプロダクトでユーザーの方々にどのような体験をしてほしいとお考えですか?
自分らしく、自分を肯定できる体験をしていただきたいと思っています。たとえば「Essence Journal」ですと、1ページ書いていただくとイマジネーションがどんどん膨らんでいくという、楽しい体験をしていただけます。
想いをカタチにすることはとても難しい。しかしその想いが派生し、少しずつでも広がっていけば、よりよい未来につながっていくと私は信じているんです。現代社会はめまぐるしいスピードで進んでいますけれど、SOUZOを媒介に一旦足を止めてご自身と向き合えるサポートができましたら幸いです。
ー SOUZOを立ち上げるにあたり、大事にしたことは何ですか?
SOUZOの価値をユーザーの方々ご提供できるように、自分の考えをとにかくブレさせないことを意識していました。SOUZOをブランドとして成長させていくというのが、私の使命ですから。「SOUZOのようなブランドを待っていたんです」、「何を書こうかとってもドキドキ・ワクワクする」といったお声は、モチベーションになっています。

ー 今後の商品展開についてお聞かせください。
企画・開発中ではあるのですが、先ほどお話しした“3つの軸”を踏まえた展開になることは間違いありません。現段階でお伝えできるプロダクトとしては、島野真希さん書き下ろしステッカーの第2弾と、アパレル展開やインテリア雑貨の企画・制作を進めています。
今後はプロダクトに限らず、ワークショップのような「体験」もお届けしていこうと計画しているんですね。2025年8月には長野県にある「那須塩原市図書館 みるる」で親子向けワークショップ「ちょっと絵が上手くなるワークショップ」を開催し、大変ご好評をいただきました。ワークショップ後、来館された方が自由に描けるお絵描きノートとして「Essence Journal」を置いたところ、たくさんのお子様が素敵な絵を描いてくれたんですよ。

「ちょっと絵が上手くなるワークショップ」は、絵を描くのが苦手な私が「ちょっとだけでいいから絵が上手くなりたい」と常々思っていたことが発端でして、これからも開催していく予定です。
私と同じような方はきっと数多くいらっしゃるでしょうし、絵を描くハードルが下がるきかっけになればいいなと。
ー 10年後、SOUZOをどんなブランドへ育てていきたいですか?
品質にこだわっている分、それほどたくさんは生産できないと思うんです。ゆえに10年後は「知る人ぞ知る」といいますか、希少性の高いグローバルなブランドに成長させていたいですね。SOUZOを世界に羽ばたかせ、どんどん価値を広め、世界中の方々とSOUZOについて会話することが今から楽しみです。

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